あてと褌は向こうから外れる

 

辞任を表明した後の菅義偉首相(当時)の訪米は、

様々な疑念と憶測を呼んだが、

「バイデン大統領の強い要請があった」という事後報道で納得した。

 

然し、任期の最終盤での67日の中東歴訪に、何の意義が見いだせるのか。

 

文在寅大統領は、

アラブ首長国連邦で「天弓ミサイル」を、

サウジアラビアで「原子力発電所」を

エジプトで「K9自走砲」の契約を取り付け、

自らの成果としたかったようであるが、“あてと褌”は向こうから外れてしまった。

 

韓国製K-9自走砲、エジプト向け輸出契約ならず

朝鮮日報online122() 

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は21日(現地時間)、アラブ首長国連邦(UAE)・サウジアラビア・エジプトの3カ国訪問を終えて帰国の途に就いた。北朝鮮による挑発行為や新型コロナウイルス感染症の流行など韓国国内の状況が悪いにもかかわらず、「絶対に行かなければならない」と言って、任期最後の海外訪問に出た文大統領だが、当初の話とは違い、特にこれと言った成果を挙げられなかったと評されている。

 

   池田勇人首相(当時)は、欧州歴訪をした。

現地メディアは、池田首相を「トランジスターのセールスマン」と酷評し、

私は憤慨したと同時に、「日本の技術」に自信を深めたことを記憶している。

 

文在寅大統領の中東産各国歴訪は、「武器と原発のセールスツアー」であったことを知って、文大統領が「死の商人(merchant of death)」と言われなかったことに安堵している。

 

 今回の3カ国訪問に同行した防衛事業庁の姜恩湖 ( カン・ウンホ )庁長は同日、文大統領がエジプトを出発する直前に記者会見を行い、「韓国・エジプト間のK-9自走砲の契約妥結に関して期待を持っていたが、文大統領は『無理に交渉に臨むのではなく、健全に交渉に臨み、互いにウィンウィンになる(双方に利益が出るようにじっくり交渉せよ)』と指示した」「さらに時間が必要だ」と述べた。政府は以前、今回の3カ国訪問をきっかけに、エジプトで韓国製K-9自走砲の輸出が実現する可能性を示唆していた。だが、両国が20日に署名した了解覚書(MOU)にはこうした内容が盛り込まれていなかった。両国は訪問の最終日まで某所で交渉を行っていたが、見解の違いを縮めることはできなかった。エジプト側は終盤まで契約金額を値切る交渉をしていたという。

 

   北朝鮮の度重なるミサイル発射実験や武漢肺炎(新型コロナウイリス=COVD19)の変異株「オミクロン株」の蔓延は、韓国にとって「国家安全保障会議(NSC)」開催が必要な事態である。

 

しかし文在寅大統領は、北のミサイルも、オミクロン株の蔓延もそっちのけで、アラブ首長国連邦(UAE)にはミサイルを、エジプトには自走砲を、サウジアラビアには原発を売りつけようとセールス行脚をした。

 

しかし、UAEには辛うじて契約を取り付けたもののサウジへの原発、エジプトへの自走砲のセールスには失敗したようである。

 

  サウジアラビアでも防衛産業と原発輸出契約の話はなかった。文大統領はムハンマド・ビン・サルマン皇太子と会った後、「韓国の原発の技術は世界最高水準の経済性と安全性を持っている」「サウジ原発事業の最適なパートナーになると確信する」と述べた。新たな契約を推進したということだ。だが、ビン・サルマン皇太子は原則論的な回答しかしなかったという。  UAE訪問では、4兆ウォン(約3813億円)台の韓国製弾道弾迎撃ミサイルシステム「天弓-II」の契約が実現した。ただし、今回の契約は、政府が「昨年、契約が事実上完了した」と広報していたものだ。

 

   UAEではムハンマド・ビン・ザイード・アール・ナヒャーン皇太子の首脳会談を突然キャンセルされ、

サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子との首脳会談は実現したものの、商談はウヤムヤにされたようである。 

エジプト首脳との会談では、「K9自走砲」は話題にもならなかった模様である。

 

  一部では、「北朝鮮が新年から連日ミサイル発射で挑発し、新型コロナのオミクロン株感染拡大も深刻な状況で、大統領が国外に出るのは適切なのか」との批判もある。文大統領の海外訪問中に北朝鮮は今年4回目となるミサイルを発射し、核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を再び検討すると言った。さらに、文大統領がUAEに滞在中、イエメン・フーティ反軍がドローン攻撃をするなど、現地の状況も不安定だった。これに対して、青瓦台(大統領府)は「大統領の外交は大韓民国の国益のためのもの」「成果のある訪問に対する攻撃は政治攻勢だ」と述べた。

 

   青瓦台の言うように、「大統領の外交は大韓民国の国益のためのもの」である。

しかし、成果のなかった中東歴訪に関して、「成果のある訪問に対する攻撃は政治攻勢だ」という反論は当てはまらない。

 

中東歴訪の成果を観る限り、「絶対に行かなければならない」と言う類の外遊ではなかった」という見方が順当だ。