増渕 賢一(ますぶち としかず)ブログ

日々の思うことや意見、活動を掲載します。

2012年12月

技術大国“ニッポン”
 
プロローグ
30年ほど前の話であるが、テクノ・ポリス(高度技術集積都市)の指定で全国が盛り上がった。
我が宇都宮市でも市長を先頭に、通産省の指定を受けるべく奔走した。
 
幸いな事に宇都宮市はテクノ・ポリスの指定を受け、市内の清原工業団地(戦時中の陸軍飛行場跡)等には、高度技術を持つ企業が立地した。
その企業群は現在宇都宮市の税収に大きく寄与している。
宇都宮市のテクノ・ポリスとしての強みは、市内に既に下請け産業の基盤があったことである。
富士重工業(戦時中の中島飛行機)、シンガー日鋼(旧日本製鋼所=兵器工場)を中心とした生産技術のヒエラルキーが既に存在していた事である。
 
その一つに“クリーニング業”があった。
「極微細なごみ=ハイテク産業の大敵」をクリーニングする技術を持った業者まで存在したのである。
一口に、ハイテク技術・ハイテク製品と言っても、それを取り巻く多くの業種の多様な技術が有って成り立つのだと実感したのである。
 
話は飛ぶようであるが、米国海軍第7艦隊に関する記事があった。
 
来年2月から長期修理=横須賀の空母ジョージ・ワシントン―米海軍
1231 時事通信
西太平洋で展開する米第7艦隊が海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)を母港にする原子力空母「ジョージ・ワシントン」に付いて、20132月から同基地で長期修理を実施する計画を進めている事が30日分った。6ヶ月以内に修理を終えることを目標にしている。
米海軍筋が明らかにした。期間中、運用は制限される。
 
米第7艦隊
米太平洋艦隊隷下の艦隊で、旗艦は強襲揚陸艦ブルーリッジ、
主力艦は原子力航空母艦ジョージ・ワシントンである。
基地は、母港、横須賀に加えて日本国内に佐世保・沖縄があり、韓国の釜山・浦項・鎮海とシンガポールにある。
米海軍唯一の前方展開している空母機動部隊とも言われる。
 
空母機動部隊
航空母艦を中心として、空母を護衛する駆逐艦や潜水艦を持って構成される部隊であり、本格的な運用は、我が日本帝国海軍と米国海軍しかなしえなかった。
現在は米海軍の独壇場である。
中国も“空母らしきもの”を就役させたようだが、空母機動部隊を運用するまでには至っていない。
 
前方展開
7艦隊は前方「西太平洋海域」に展開している。
米国本土を母港とせず運用している点が「前方展開」と言われる由縁である。
「前方展開」を可能にさせているのは、我が日本の蓄積された技術群であると
石原慎太郎氏が「NOと言える日本」で言っていた。
 
長期修理
大修理であっても、母国に帰らず日本(横須賀)で行えると言う事は、
石原慎太郎氏の指摘が全く正しかった事を証明している。
先端技術から、ローテクであっても極めて高度な職人技を必要とするものまで、必要なすべての技術が存在するのはわが国以外にないといっても過言ではない。
米国にとって、我が日本国が掛替えのない存在であるとの証明でもある。
 
護衛艦
海上自衛隊の軍艦は「護衛艦」と呼称される。何を護衛するのか?と問われれば、資源を海外からに輸入に頼るわが国であるから、有事(戦時)の際には、輸送船団を護衛するともいえるが、日米の関係からすれば第7艦隊と共同して空母ジョージ・ワシントンを“護衛する”としか思えない。
 
エピローグ
仮に、日本に第7艦隊の艦艇の修理をする技術の蓄積がなかったとしよう。
他の空母機動部隊と同様母国で原子力空母の定期点検・修理をするためには、
往復するに6ヶ月、修理に6ヶ月、1年の時間を要する事は素人でも分る。
7艦隊が1年間も西太平洋における軍事的プレゼンスを空白にすることになる。
米国が西太平洋に対し極東アジアに対し影響力を維持しようとすれば、米第7艦隊規模の艦隊を1セット増やさなければならない、太平洋の広さの故である。
原子力空母ジョージ・ワシントンを横須賀で修理できると言う事は、技術大国・日本の存在が、米国にとって空母機動部隊1セット分の価値があるということである。
加えて言えば、
旧ソ連も、英国やフランスも空母機動部隊を持てない。持てなかった理由は空母機動部隊編成には天文学的な費用が必要であり、維持費のみでも多大な負担を要するためであるとも言われている。
 

待てば海路の日和あり
 
外交とは斯くも不可思議なものかとしみじみ感心させられた。
安倍政権は何の譲歩もしないのに、韓国や中国は政権獲得後軟化したと判断している。
安倍首相の政権公約が「タカ派」的だったものを政権獲得後軟化したと判断しているのである。
勿論自国の主張を守り通す意思は“有りあり”だが、国交を改善したいと言う本音の表れでもある。
 
安倍政権は「積極対話を」=動向を注視―中国外務次官    1228 時事通信
 
【北京時事】中国外務省の張志軍筆頭次官は28日、北京で開かれたフォーラムで講演し、安倍新政権に対し、「積極的な対話政策を実行して、両国の意見の違いに対処し、実際の行動で関係改善に向けた努力をする事を望む」と要請、政権の動向を注視していく考えを示した。張次官は「健全な中日関係が両国の利益に合致し、地域の平和と発展にも寄与する」と強調。「事態がエスカレートして制御できなくなり、関係が深刻に損なわれる事を避けるべきだ」
と訴え、日本が尖閣問題で「決断すべきだ」と譲歩を求めた。
 
政権獲得前に
安倍新首相は、韓国の次期大統領、朴氏に対して特使を派遣する事を早々に表明し、ロシアには森元首相を特使として派遣する事を決めた。
その後に中国に高村副総裁の派遣を決めたと記憶する。
なんでもないようだがこの順序が大きな意味を持っているのだろう。
自由で民主的な韓国との関係改善を第1に、
領土問題が“凍結”状態にあるロシアとの関係は一事休止し、
周辺と関係改善して後、
国有化で“湯気の立っている”。尖閣諸島問題で衝突寸前の中国と対峙する。
野田政権で、三正面作戦を強いられていた状態から中国一国と対峙する条件を整えようとしたのである。
 
尖閣問題
わが国は従来の主張を繰り返すだけでよい。
中国が一方的に領有権の主張をエスカレートしてきたのであって、尖閣問題の解決のためにはわが国は待つだけでよいのである。
待てば待つほど中国政府は苦境に陥る、尖閣領有の主張が共産党政権の命取りにもなりかねない。
中国・国民(人民ではない)からすれば、尖閣領有が実現しない事を理由に政府攻撃を激化させるからである。
経済問題でも、日本企業“排斥も激化”するであろう,その結果は日本企業の撤退であり、それによって起こるのは、大量の労働者が職を失い路頭に迷うと言う事である。彼らのデモはより過激化する。
 
中国政府は
張次官の発言通り「日本に決断を求める」しか手はないのである。
安倍首相は「領土は1ミリたりとも・・・」との意思を表している。
中国政府は、外交問題と経済問題で行き詰っているのである。
後は「武力に訴える道しかない」。
しかし、武力に訴えれば貿易で交流のある自由主義圏から制裁を受ける事は必至であり、貿易が僅かでも減少する事は中国政府の政策遂行に致命的な打撃となる。
 
日本政府は
中国への輸出は、GDPの僅か1%、輸入も1%である。
文学的に「中国はわが国の最大の貿易相手国」と言い,それが事実であっても実態は僅か1%。しかも輸出の大半は日系の現地企業への部品や製造機械の“移入”であるはずである。
輸入は野菜を始めとする農薬入りの食料品であり、ユニクロなどの衣料品であり、100円ショップに代表される“デフレ促進”製品である。
輸入されない方が日本人にとって良い面もあるのである。

来年はどんな年?
 
毎年、年頭のご挨拶に、安岡正篤先生の御著書『干支の活学』を参考に、その年を私なりに占ってきた。
過去のブログを振り返ってみると、今年はそれがなかった。
311』のショックに起因して、安岡先生の易学に疑問を持ってしまったのかと思い、平成1111日の、my ブログを振り返ってみた。
其処には、
 
辛卯=かのとう・しんぼう
辛と卯をあわせると、平成23(2011)は潜伏していたエネルギーが矛盾や抑圧を拝して噴出する。陽気が衝動して葉や根がはびこり、こんがらかって如何しようもなくなる。辛い、辛い目にあう年という事になる。
 
このことを現実の政治に当て嵌めて見れば,民主党政権下で抑圧されている人々が、抑圧を排除して、様々な矛盾=政策・理念を乗り越えて、闘争に移る。しかし成果は得られず、“こんがらかって”どうしようもない年になるということになる。と私の解釈があった。
 
311』と、その後
あの東大震災・大地震は、潜伏していたエネルギーが『矛盾』はいずれにしても『抑圧を拝して噴出する』そのものであったことが分る。
『陽気が衝動して・・・』『辛い目にあうぞ』も将にその通りであったとも言える。
反民主で野党各党が共闘したにかかわらず、成果は得られず、“こんがらかって”どうしようもなくなるも、その通りであった。
 
革めて、安岡先生の易学に対する造詣の深さを実感し、
同時に、(311ショックに捉われて冷静さを失った)自分の軽薄さも身に染みて、自覚した次第である。
 
そこで来年を、安岡先生の御著書を基に占ってみる。
 
平成25(2013)年の干支は『癸・巳』(き・し)(みずのと・み)の年である。
 
安岡先生の御著書に依れば
『癸』の意味は
「万事筋道を立てて物を考え、処理していく、それを誤ると混乱し、あるいはご破算となるかもしれない」と説き、「先聖後聖、その癸一なり」と言い、「癸一が逆になって“一揆”となる」と説いておられ、さらに“癸一”原理原則は何時の時代にも変わらないものであると教えておられます。
『巳』に付いては
巳は象形文字であり蛇そのものである。その意は「冬眠していた蛇が春になって地表に這い出す形を現している」と説き、「従来の因習的生活に終わりを告げるという意味」と解説をしておられます。
 
これを私なりに解釈し、現実社会・政治に当て嵌めてみると、
民主党政権時代のみならず、それ以前の自民党政権時代を含め
「従来の因習的政策に終わりを告げ」
「万事筋道を立てて物“政策”を考え、処理“実行”していく」と、
単純明快な答えとなるのであります。
「癸一なり」「原理原則は何時の時代も変わらない、奇手や妙手などは無い、
時代背景を考えれば愚直に先聖・先賢の道を辿ればよいのである。
と読み取れます。
 
先聖・先賢の教え
うろ覚えであるが、経済学に「シュンペーター理論」と「ケインズ理論」があり、その理論は相反すると承知する。何れも先賢である。
景気が浮揚し巡航軌道に乗ったときは「シュンペーター理論」で市場に委ねればよいのであり。
景気が停滞し、それから脱出するためには「ケインズ理論」を採用すればよいだけである。
現今の日本経済は「ケインズ理論」を必要としている。
安倍政権は“奇”を衒わず、“愚直”に、原理原則に照らして政策を実行すればよいのであろう。
 
「万事筋道・・・」とは、
国家の大目標=大戦略をもち、
それを実現するための戦略「政権の基本方針」を立て、
その戦略「基本方針」に基づき適切な戦術「政策」を策し、
実行のための体制「各省庁の活用」をなさなければならない。
“ヒール”悪役を仕立てて、それにすべての責任を押し付け、自己弁護をする政治は“捨て”なければならない。
いたずらに、ステレオタイプな「官僚批判などもってのほか」と断じる国民の目が“今の日本に”必要である。
また、官僚を含めて、一般国民も己を顧みて“不足を補う”努力が必要であり、松戸市発祥で、一時、持て囃された「何でもやる課」的に、なんでも政治家に押し付け、政府に寄りかかることは慎まなければならない。

キットそうだ!!
 
5打席連続敬遠
1992年夏、高校野球選手権大会で椿事と言うか、大きな話題を呼んだ試合があった。
石川県代表の星稜高校と高知県代表の明徳義塾の試合である。
星稜の4番バッター松井秀樹に対し明徳のバッテリーは5打席連続して敬遠策を取ったのである。試合は、明徳が勝利した。
 
今更書くまでもないが、その後、松井は読売ジャイアンツに入団、巨人軍の不動の4番バッターとして10年間活躍し、
その後、ニューヨークヤンキースに移籍,
4番を含めてクリーンアップトリオとして活躍した。
その松井が引退するとのニュースが昨日報じられた。
各界の反応があったが、政界では下の記事である。
 
松井引退「まだやれるんじゃないか」菅官房長官、引退惜しむ
1228 産経新聞
菅義偉官房長官は28日午前の記者会見で、現役引退を表明した松井秀喜選手に付いて「まだやれるんじゃないかという思いもある。残念に思っている」と述べ、大リーグで活躍してきたスター選手の引退を惜しんだ。
 
菅氏は松井選手を「国民に希望や喜びを与え続けてくれた大選手」と賞賛。
「今後も日本のプロ野球の発展は勿論、世界のプロスポーツの中で活躍して欲しい」と語り、引退後も世界的な活躍に期待を寄せた。
 
20年前の思い出
5打席連続敬遠」事件の報道に接して、私は、松井選手だけでなく明徳のバッテリーに対しても同情を禁じえなかった。
しかし、一般的には、(この事件を)どのように見ているのかアンケートを試みた。
当時県議会議長であったので、議会事務局職員30人弱の方に協力してもらい回答を得たのである。
回答の過半は「勝つためには、やむを得ない」との答えであったと記憶する。
国民の過半も「やむを得ない」が「卑怯」を上回ったと記憶する。
私自身は、この作戦を取った明徳の監督に怒りを禁じえなかった。
 
昨日
家で、夕食時、妻が『松井の引退・・・如何思う』と、
私『阪神に移籍すると思った』
TVニュースで、松井自身が
『期待していただく事は嬉しいが、10年前のジャイアンツの4番“マツイ”に戻る自信がない』と、
私『松井の美学だな~』
妻『(同感の表情で)・・・』
 
松井の顔
野球は見る事もプレーする事も興味のなかった私だが、5打席連続敬遠事件から松井選手だけには興味を抱き続けた。
大リーグに移籍した後も、折に触れてニュースに目を向けたが、あるときから松井の顔が“高倉健”に似てきたような気がした。顔そのものは似ても似つかないのだが、話し振りが、話する雰囲気が“高倉健”に、私には見えてしまうのだ。
 
高倉健と山口百恵
高倉健は左翼から右翼にまで愛される大スターであり、一頃、山口百恵と高倉健は日本人を代表する男女として、アノ、中国でも人気が高かったと記憶する。
悲劇に耐え、生きつづける“外柔内剛”の手弱女・山口百恵。
あらゆる障害を乗り越え、他人に優しく、自分に厳しく生きる、
益荒男・高倉“健さん”が中国人も大好きだったのである。
お二人にはそれぞれ俳優としての“美学”を持っている。
山口百恵はあっさりと引退し一切芸能界との接触を絶ち、一介の妻として夫を支え、母として子育てに勤しんでいる。
“健さん”は、一途な若いヤクザから、悩め中年ヤクザ、真実一路に生きる職業人などをご自身の年齢相応に演じきっている。
生き方そのものが『美学』“なので”ある。
 
松井秀樹の『美学』が松井の顔に高倉健を宿らせていたのかもしれない。
キットそうだ!!
 
五打席連続敬遠・再考
当時も、今も、日本国民の大部分は『勝つためには、やむを得ない』と感じているのかもしれない。明徳の監督の采配も『卑怯』とは感じられないのだろうか。
ヤクザの社会も、野球も、『勝つためには、手段を選ばず』の時代になってしまったのか。一般の社会では如何なのか。
“正々堂々”と生きることが難しい時代になってしまったようだ。
しかし、幕末の日本に来航した外国人の目に
『貧しくとも矜持を持った武士に、富める町人がペコペコする姿』に
“ある種の感動を覚えた”。との手記が残っていると言う。
当時の日本人は“正々堂々”に生きる矜持があったのである。
会津藩の藩校・日新館の校則だったか『ならぬものは、ならぬものです』という単純明快な規範が崩れてしまったのか。
高倉健さんは“日本人の美学”それを演じきり。
松井秀樹はプレーで表現したと言うことだろう。
 

ラストチャンス
 
“似非”保守とマスコミ
保守系と言われる論壇人たちが口をそろえて言っていたことがある。
『安倍政権が誕生すれば、安倍晋三氏の政権公約で保守色の強い政策、「竹島の日式典・政府主催」や「尖閣諸島・公務員駐在」・「集団自衛権」等々の早期実施を求めて“似非”保守の人士が安倍非難を行う』、
『マスコミが一斉に「反憲法改正」「集団自衛権反対」の論陣を張るだろう』と予測していた。
なるほど、各社の世論調査が報道されてみるとその傾向が顕著である。
 
最優先課題・・・克服
しかし、安倍政権は「景気回復」「デフレ脱却」「復興最優先」で取り組む姿勢を見せており。国民の大部分も「景気回復」を望んでいる。
安倍政権に批判的と言うより民主党政権と自民党政権の違いが分からない
政治不信を持つ“と窺われる”人物が、安倍政権の景気対策に「期待が持てない」と答えるのみであり、その方々も「景気回復」を望んでいないわけではない。
 
安倍首相、景気浮揚ねらい「15ヶ月予算」指示       1227 読売新聞
 
安倍首相は27日の臨時閣議で、2012年度補正予算案と13年度予算案を一体とみなし、切れ目のない経済対策を行う「15ヶ月予算」とする方針を示した。
政府は、公共事業の発注を前倒しするなどして景気回復に全力を挙げる構えだ。
補正予算は来年17日に省庁の要求を締め切り、緊急経済対策に反映させる事が決まった。首相は(1)復興・防災対策(2)成長による富の創出(3)暮らしの安心・地域活性化――を重点分野に掲げ、財源は「既存予算を見直しつつ、国債発行も含めて確保する」とした。
13年度予算編成に関しては、首相は各省庁に民主党政権の基で行った概算要求のやり直しを指示した。一方、閣議では副大臣25(自民22、公明3)と政務官27(自民24、公明3)の人事も決めた。
 
戦勝に浮かれない・・・
16日の開票時から、政権成立の26日、内閣が滑り出した今日に至るまで、安倍晋三氏をはじめ党執行部、昨日入閣した大臣諸氏にも“浮かれた様子”は全くない。
彼らは、重責を果たさなければならない責任感を強く感じているからである。
自民党幹部であったか『日本国にとっても、自民党にとってもラストチャンス』と語っていた姿が印象的である。
 
果たさなければならない責務
選挙前後を通じてマスコミは争点を「原発問題」にシフトしようとする意図が見え見えであったし、安部政権成立後は「憲法改正」「集団自衛権」など、独立国として当然確立しなければならない課題を取り上げ否定的な論調で世論を誘導する傾向が強い。
しかし、現状に危機感を持つ政治家も良識ある国民も共に最優先の課題は「景気回復」である事を承知している。
『衣食足りて・・・』である。
それが証拠に「安倍政権の重点政策」を察知した市場は好感を寄せ「株価上昇」「円安」に振れている。
 
決められる政治
衆参が“ネジレ”現象にある今日、「決められる政治」を標榜する事は容易いが、それを実行に移す事は容易ではない。
しかし、政治が「政治家・政党のための政治=政局中心」でなければ、政権の打ち出す政策に誤りがなければ、中間政党・第3極と呼ばれる政党は是々非々で対応するであろう。
“ネジレ”でも「決められる政治実現は可能なのである。
安倍内閣が「決められる政治」を実現する姿が間もなく見られるであろう。
現時点が、国民にとってもラストチャンスである事を、第3極の議員が理解できると信じての話であるが。
 
ラストチャンス
政治家は勿論であるが、国民も含めて日本の現状を正確に把握し、この危機的状況からの脱出を考えなければならない。その様な意味で日本の現状を冷静に観察すれば、まさしく「ラストチャンス」であると言える。
1000兆円に及ぶ国債はすべて国民の資産からの借用であるとは言え、80兆円の予算のうち、歳入の半分40兆円が国債による資金調達であり、支出の4分の1が国債の返却に当てられている。
国民の資産が無尽蔵ではないのだからこのような財政状況から脱出しなければならない事は当然と言える。
 
財政再建の道筋
民主党・野田政権も、財政再建に真剣に取り組んだ。
安倍政権も財政再建には必ず道筋を見出さなければならない。
野田政権はそれを「消費税増税」に求め、
安倍政権は「デフレ脱却」による税収増に求めている違いだけである。
 
渡辺美智雄先生に関する思い出
1980年代、鈴木善幸内閣の大蔵大臣に就任した渡辺美智雄先生は、
揮毫を頼まれると『財政再建』と臆面もなく(失礼)書かれていた。
現在ほどではないが、第1次・2次のオイルショックから脱出するため福田赳夫内閣で発行された『赤字国債』の累積と、『赤字国債依存』の予算からの脱却が最大課題であったからである。
渡辺大蔵大臣の時代に端緒・道筋が付けられ、渡辺先生が中曽根内閣の政調会長時代に『財政再建』は実現した。
実現の原動力は言うまでもなく『景気回復』であった。
 
私の記憶にある、当時の渡辺語録
市場原理主義を唱える経済人に対して
『シュンペーターか、何か、知らね~が・・・景気回復のためならなんでも・・・』
0.0%単位で金利引下げをする政府・日銀を評して
『金利引き下げを“ちびちび”やっていてはダメだ・・・一気に0金利!!』
 
半年は“待つのだぞ”
景気がインフレに振れると、物価が上がり、生活に影響を及ぼす事は避けられない。しかし、給与は翌年4月には“ベースアップ”される。
反対に、住宅ローン等の負担は軽減されるのである。
融資残高が実質的に目減りする現象が“インフレ”であり、実質的に増加するのが“デフレ”である。
勿論、経済がインフレ傾向では設備投資等の意欲が強くなる。
政策にまず市場が反応し、市場が好反応を示せば資金調達に余裕が出来、企業が設備投資の意欲を持つ。
民間投資が活発になれば市中にカネが出回る。
“好景気”が実現するのである。
 
景気の呼び水
インフレターゲットを設定し、それを実現するために“まず”しなければならないことが、“呼び水”としての公共事業である。
幸か不幸か、震災からの復興事業が“手付かづのまま”放置されてきた、
高度成長期に建設された道路や橋、水道や下水道が、メンテナンスや改修の時期にさしかかっている。有用な、“人に優しい”『コンクリート』が手に余るほどあるのである。
 
政治論議は『景気回復』の後に
まずは当面の最大課題『景気回復“専一”』の安倍政権の姿勢を評価し、応援しなければ、国民にとっての“ラストチャンス”を国民が掴み取る事が不可能となる。
デフレが克服できず、このままの状態が続けば『国家の没落』『国民の疲弊』の道をたどる事は素人でも分かる事である。
マスコミも国家権力に背を向けることは良いとして、国民に背を向けては成り立たない事を、景気回復なくしてスポンサーは減少の一途をたどる事を、そろそろ理解しなければならないだろう。

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