誰のための“反対運動”か?
航空機と戦争
オスプレイの在日米軍への配備が問題となった当初から、ヘリコプター導入時期と経過に興味を持った。
航空機が戦争に投入されたのは第1次世界大戦で偵察用や原始的に搭載した爆弾を投下するなどしたようだが、本格的に投入されたのは第2次世界大戦であることは、我々軍事の素人でも「ゼロ戦」や「グラマン」、「スピットファイヤー」や「メッサーシュミット」などが登場する戦争映画等で知ることができる。
現在は映画「トップガン」の世界から「スターウォーズ」の世界への移行期と言うことか。1世紀チョットで急速な進歩である。
垂直離着陸航空機
一方、ヘリコプターに付いて、ウェキペディアに依れば、
ヘリコプターは1937年ドイツ人のフォッケによって実用機に近い機が開発され、1939年ロシアから米国に亡命したシコルスキーが開発した機が第2次世界大戦末期に実戦投入されたとある。
後の「朝鮮戦争」にも投入されたが、実戦に配備され本格的に戦力として作戦に投入されたのは「ベトナム戦争」であるという。
初期の実戦投入後も、機能的な改良も必要であったであろうし、操縦技術の開発も必要であったのであろう。
当然その間の事故等もオスプレイ以上に起こったと想像できる。
従って、以外に短いヘリコプター実用化の歴史であった。
余談だが、
映画「地獄の黙示録」ではヘリコプターに乗った騎兵隊が登場している。
昭和50年代半ば、東北新幹線の工事中ごろの事、機会を得て陸上自衛隊第12飛行隊のヘリで栃木県内を上空から視察したことがある。
県内の矢板地区の新幹線工事現場上空を飛行した際の風景は「地獄の黙示録」のヘリ飛行シーンそのものであった。
話題のオスプレイに付いては、
XV-3として1940年ごろから研究に着手され、55年には初飛行を行った。
後継のXV-15は77年初飛行、79年には現在のオスプレイと同様の構造スタイルでの初飛行に成功したとある。
現在の機、V-22オスプレイは1985年に米国防相で開発が承認され、1994年から量産体制に入った。
問題の事故に付いては研究段階で4回、実戦配備後も4回報告されている。実験段階では構造上の問題が原因であるようだが、配備後の4回は操縦ミスや気象条件に起因するものと報告されている。
操縦の難易度
固定翼機とヘリ、ヘリとオスプレイを比べれば、操縦技術は、固定翼機が最も容易く、固定翼の特性とヘリの特性を伴に持ち、各々の特性を発揮させることを目的としたオスプレイの操縦が最も難しい事は想像が付く。
ヘリ導入初期の記録を検証する術は無いが固定翼に比べて操縦が複雑なヘリコプターも事故とは無縁でなかったのではないかと想像する。
オスプレイに“おいておや”である。
オスプレイの優位性
新基軸の航空機を考える時、その航空機の持つアドバンテージを考えれば、近い将来諸外国の軍隊が、軍隊のみなら民間航空機としても普及する事は、ヘリコプター普及の歴史を振り返るまでもない。
例え、飛行船のように瞬間的にしか通用しなかった技術でも諸外国が導入を争ったのであるから、オスプレイは勿論のこと、同様な機能を持つ航空機が各国軍に導入されることは当然視される。
しかし、下の記事をどの様に評価すればよいのか。
オスプレイ、将来的に自衛隊導入も 森本防衛相、直近は否定
10・30 産経新聞
森本敏防衛相は30日午前の記者会見で、米海兵隊が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備している垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを自衛隊に導入すべきだとの声が外務省内で上がっていることに付いて「すぐにオスプレイを導入する考えはない」と述べた。
その上で、オスプレイなどティルトローター(傾斜式回転翼)機全般に付いて「日本の安全保障にどういう意味を持つかを今、勉強しており、必要あればそれなりの措置はとる。完全に道を閉ざしているわけではない」と述べ、将来的な導入の可能性は否定しなかった。
わが国防衛に・・・
外務省は、政府専用機同様の使用目的、政府要人輸送や邦人救出等の用途で導入を意図しているのだろう。それはそれで、意味があることだが、オスプレイの真骨頂は軍事目的にあることは自明である。
特に離島や山岳地帯での作戦には他を圧倒する存在感を示す事は当然視される。国土の大半を山岳が占め、四方を海に囲まれ数え切れないほどの離島を持つ我が国にあって、今現在はいずれにしても近い将来を考えれば、ヘリコプター以上にオスプレイが威力を発揮する“舞台”となることは必至である。
オスプレイ配備反対運動は
国内、岩国や沖縄でオスプレイ配備反対運動が行われている事は承知しているが、反対運動家の方々“より強く”オスプレイ配備に懸念と恐怖を感じているのは、当面の仮想敵国「中共・人民解放軍」である事は当然である。
戦闘遂行能力において従来型のヘリとオスプレイではアドバンテージがあまりにも違いすぎるからである。
あらゆる手段を駆使して自国(中共)でも開発を急いでいるであろう。
情報収集
その為にはオスプレイ実機は無理としても、詳細な飛行データや構造の詳細を得たいとの姿勢“喉から手が”出ている様子が目に見えるようである。
しかし、ここで考えて欲しい、中共政府や人民解放軍が欲している事毎を、反対派住民を称するものたちや、反対する自治体の長などが日本政府を通じて米軍に求めているのである。
あたかも、反対運動が「中共の垂直離着陸機研究」の「データ収集」のために行われているとも見えるのである。
軍事機密
記事に戻れば、なぜこのような当たり前のことが話題・ニュースになり得るのか。
「オスプレイは未来永劫導入しない」との言質でも取ろうとして記者は質問したのであろうか。(産経新聞の記事だけに気にかかる)
仮に「すぐ導入したい」とわが国・自衛隊が欲しても、米国・米軍が直ちに許可するとは思えない。米軍にとっては「取って置きの技術であり、この分野で他国の追従を許していないのだから」である。
FX問題で“苦い水を飲まされている”ことの記憶を呼び起こしてみる必要もある。
後記
オスプレイ配備反対の運動家連が、飛行妨害のため、普天間飛行場近辺で“風船”や“凧”を揚げ、米軍から取締りを求める要請が日本政府にあったが、沖縄県警では「現行法で取り締まれる法的裏づけが無い」として“お手上げ”であるとの報道を目にした。
反対運動家は「オスプレイは事故が多い」を反対の理由としていたのではないか。「事故を無理やり起こそうとする」と見るしかない行動を如何説明するのか。
勿論説明(自己弁護)は不可能なのであろう。
この記事の続報をまだ目にしていない。
つまり、反対運動家は中共・人民解放軍がティルトローター機を開発・実戦配備するまで、なりふりかまわず、在沖米軍への配備を遅らせる“時間稼ぎ”をしているとも見えてしまうのである。
以上